手延べと熟成を3日間かけて繰り返し
油脂を使わずにつくりあげた希少なそうめん
そうめんをふるまわなかった鈴木その子
在りし日の鈴木その子は、スタッフにうどんをふるまうことはあれど、そうめんをふるまうことはありませんでした。
なぜなら、この事実をまだ知らない方が依然として多いようですが、一般的なそうめんには油脂が使われているからです。
鈴木その子は、ごはんを中心にした主食をしっかり摂ることや、油脂を使わないノンオイル調理にこだわった食事法を提唱していました。
SONOKOでは、主食のバリエーションを増やすことで毎日の食がより楽しくなればとの想いで、手間ひまはかかりますが油脂を使っていないそうめんをおつくりしています。
気温が低く乾燥した厳寒期に行う寒仕込み
SONOKOの「手延べそうめん」は、12月から3月の厳寒期に限定した寒仕込みでおつくりしています。
高温多湿の夏場は生地が水分を含んでゆるくなりやすいので、塩を多く使う必要があります。
冬場に行う寒仕込みでは、塩の量が少なくても生地を細く長く延ばしやすく、しっかりと時間をかけて麺生地を熟成させることで、コシの強い麺に仕上がるのです。
生地を練り始めるのは、冷え込みが厳しい冬の早朝。小麦粉に塩と水を加え、職人がその日の温度や湿度によって練る時間を見極めながら、耳たぶの硬さほどに練り上げます。
一昼夜寝かしたら平らに延ばし、細長く切りさばいた後、麺を熟成させながら、徐々に細く長く延ばしていきます。
細長いひも状になった生地は、今度は2本の棒に8の字を描くような “あや掛け”でゆっくりと引っ張ることでさらに延ばされ、それと同時にコシが強くなります。
しっかりと熟成させたら、麺の間を風がさらさらと通るよう掛け台に吊るし、職人が培った感覚で極限まで長く延ばしていきます。そして、掛け台の位置をこまめに調整しながら、ゆっくりと乾燥させます。
3日間かけて熟成したつるりとのどごしのよい麺
このように職人の手で延ばして寝かせるという工程を何度も重ねた麺は、表面がなめらかでコシがあるのが特長。
効率を求めるあまりに急いでつくった麺はざらつきが残ってしまいますが、SONOKOの「手延べそうめん」は3日間かけてつくりあげているため、「つるっとのどごしがよい」とご好評をいただいている食感が生まれるのです。
さらに特筆すべきは、そうめんなのに油脂を一切加えていない点です。
麺と麺がくっつくのを防ぐために、一般的なそうめんづくりでは綿実油に代表される植物油を使います。
ですが、SONOKOでは打ち粉のみで丁寧に延ばしているので、小麦粉本来の風味をお楽しみいただけます。
やや細めに仕上げたSONOKO「手延べそうめん」は、SONOKOのつゆやだしによく合いますが、気分を変えたいときは、カッペリーニ( 細いパスタ)に見立てて冷製パスタとして食すのもおすすめ。
茹でたら冷水で洗った後に氷で締めて水を切り、常温の「国産帆立のボンゴレ風パスタソース」をかければできあがりです。