皆様の健やかな年末年始を願って
息つく暇もなく忙しく過ごした鈴木その子
どんなに多忙でも手を抜かなかった鈴木その子
クリスマス、大晦日、お正月が到来する、慌ただしくも楽しい時季、鈴木その子は実に多忙を極めていました。
当時を知るスタッフは、年末年始に増えるテレビ出演や取材の合間をぬって厨房に駆け込んでいた鈴木その子の過密スケジュールを「戦いのようだった」と振り返ります。
クリスマスに向けて始まるのが、ローストチキンの準備です。1日数百個ものチキンの皮を丁寧にむいて脂をとり、じっくり焼き上げた逸品は、多くの方を虜にしました。このローストチキンやオリジナルケーキが入った特別なディナーセットは、まるでその子サンタからの届け物のよう。そのメニューを色濃く受け継いだのが、大山どりのローストチキンをお楽しみいただける「クリスマス1週間グルメセット」です。
また、お招きした皆様をターキーや大きな四角い特製ケーキでおもてなししたパーティーは、現在も毎年12月に開かれるパーティーの原点といえます。
※当時のターキーとケーキ
スタッフの健康にも気遣いながら美味しいおせちを用意
街がきらめくクリスマス期間、鈴木その子はおせちの仕込みに取りかかります。
吟味を重ねた素材を各地から仕入れ、数の子を何日もかけて塩抜きして薄皮を丁寧にむき下処理を加えるなどの手間を惜しまず、きんとんは透明になるまで徹底的に練り上げ、昆布巻きは箸でちぎれるほどやわらかくなるまで2日間ことこと煮込みます。
鈴木その子の数々のおせち料理の中で、多くの方が語り継ぐ印象的な味が、縁起物でもある鯛の姿焼きです。鯛を好んでいた鈴木その子が明石から仕入れた鯛は、大きくて立派なだけでなく、あふれる旨みも絶品。しっとりと柔らかく、塩加減も絶妙で、一度食べたら次の年も必ず食べたくなる美味しさだったと記憶するスタッフもいます。
調理を行う厨房は、大切な素材が傷まないよう、室温が低く設定されていました。寒い厨房で夜まで手伝うスタッフのために、鈴木その子は一人ひとりの体調に合わせたお弁当を用意しました。
トキノ会便り 編集長の瀧本はこのエピソードについて、「お届けする献立にも食べる方に合わせたお便りをつけていたような“健康を願って世話を焼かずにはいられない性格”や、周囲から“第二の母”と慕われた深い愛がうかがえる」と語ります。
※鈴木その子が結婚したスタッフに贈った雑煮椀
元旦の午前中が束の間の休息のひととき
膨大な量のおせちをつくると同時に、鈴木その子は初売りの用意も始めます。
福袋をお渡しする方の笑顔を思い浮かべ、その方にぴったりの品々を選び、メッセージも添えます。ようやく鈴木その子がひと息つけるのは、おせちをつくり、福袋も揃え、皆様が「金そば」のかけ声とともに年越し蕎麦を味わった頃。元旦の午前中だけの束の間の休息にもかかわらず、身近なスタッフには正月料理をふるまいました。
小豆を好んだ鈴木その子によるお正月の甘味といえば、おしるこやぜんざいです。時間をかけてことこと煮込んで練り上げたこしあんは、独特の甘さとねっとりした食感で、小豆が苦手な人も絶賛するほど。杵つき餅は「美味しさを忘れられない」とのお声が当時の会報紙に寄せられています。
イベントやお付き合いが続いて食生活が乱れがちな時季だからこそ、皆様の健康を守りたいと願い、正しい食と季節の楽しみをお届けした鈴木その子。その想いはSONOKOの年末年始のごちそうに脈々と息づいています。